こんにちは。前橋けやき歯科・矯正歯科です。今回は、日本の成人の約8割が抱えているといわれる「歯周病」の初期サインと、ご自宅でできるセルフチェック、そして効果的な予防法について、詳しくご紹介していきます。
「歯磨きもしてるし、特に痛みもないから大丈夫」—そう思っている方、実は要注意です。歯周病は、その名の通り「静かに進行する病気」であり、自覚症状が現れた時には、すでに歯を支える骨（歯槽骨）が大きく破壊されているケースが少なくありません。事実、歯周病は歯を失う最大の原因となっています。

しかし、ご安心ください。初期段階でそのサインに気づき、適切な対策を講じれば、歯周病の進行を食い止め、大切な歯を守ることができます。そのための第一歩が、「日々のちょっとした意識」と「セルフチェック」です。

はじめに🦷：なぜ初期サインが大切なのか？

歯周病が恐ろしいのは、進行しても痛みを伴いにくいため、「気づきにくい」という点にあります。健康な歯ぐきは、淡いピンク色で引き締まっていますが、歯周病菌の出す毒素によって炎症が起こると、見た目や感覚にわずかな変化が現れ始めます。この小さな変化こそが、体からの「SOSサイン」であり、これを見逃さないことが、歯周病対策において最も重要になります。
早期発見・早期対策ができれば、進行した歯周病の治療と比べて、治療期間や費用、そして患者様の身体的な負担も大幅に軽減することが可能です。また、歯周病は口腔内の問題に留まらず、近年では糖尿病や心臓病など、全身の健康とも深く関わっていることが分かっています。つまり、歯周病の予防は、全身の健康を守ることに直結しているのです。

第1章：歯周病セルフチェックシート（全10項目）

まずは、鏡を見ながら、以下のチェックシートでご自身の歯ぐきと口腔内の状態をじっくりと確認してみましょう。当てはまる項目には「はい」をつけてください。

結果の目安

• 「はい」が0〜1個 ：今のところ大きな問題はなさそうです！素晴らしいケアを継続できています。今後も正しいブラッシングと定期的な検診を続け、予防に努めましょう。

• 「はい」が2〜4個： 歯肉炎の可能性があります。軽度の歯周病が始まっているサインかもしれません。毎日の歯磨きの方法や、歯間ケアの見直しが必須です。放置すると進行するため、早めに歯科医院で相談し、専門的なクリーニングと指導を受けましょう。

• 「はい」が5個以上 ：歯周病が進行している恐れがあります！特に「歯のぐらつき」「膿の排出」といった項目にチェックが入った場合は、歯を支える骨がかなり破壊されている可能性があります。すぐに歯科医院で精密検査と診察を受けて、適切な治療を始めましょう。

第2章：歯周病の初期サインとは？—進行度と症状ー

歯周病は、その進行度によって「歯肉炎」と「歯周炎」に分類されます。セルフチェックの結果をより深く理解するために、それぞれの段階でどのようなサインが現れるのかを見ていきましょう。

1. 歯肉炎（初期段階）

歯周病の最も初期の段階です。歯ぐきのみに炎症が起きている状態であり、歯を支える骨はまだ破壊されていません。この段階であれば、適切なブラッシングとプロフェッショナルケアで比較的容易に健康な状態に戻すことができます。
主な初期サイン:
• 歯ぐきの出血: 歯磨き時やフロス使用時に、軽い力でも血が出る。これが最も見逃しやすいサインです。
• 歯ぐきの腫れや赤み: 健康なピンク色ではなく、赤みがかって腫れぼったくなる（特に歯と歯の間）。
• 口のネバつき: 起床時などに口の中がネバネバする。これは細菌が夜間に異常繁殖しているサインです。

2. 軽度〜中等度歯周炎

炎症が進行し、歯ぐきの奥にある歯槽骨（しそうこつ）の破壊が始まった状態です。この段階になると、歯と歯ぐきの間に歯周ポケットが形成され、深い場所にあるプラーク（歯垢）や歯石はセルフケアだけでは除去が難しくなります。
主な進行サイン:
• 口臭がきつくなる: 歯周ポケット内で細菌が繁殖し、独特の嫌な臭いを発生させます。
• 歯ぐきが下がる（歯が長くなったように見える）: 骨の破壊に伴い、歯ぐきが退縮し始めます。
• 歯と歯の間に隙間: 歯ぐきが下がることで、歯の間に空間ができ、食べ物が挟まりやすくなります。
• 歯のぐらつき（わずか）: 骨の支持を失い始め、少し浮いたような、またはグラつく感覚が現れることがあります。

第3章： 歯周病を予防する4つの絶対的なポイント

歯周病は生活習慣病の一つであり、その予防には日々の意識と行動が不可欠です。前橋けやき歯科・矯正歯科が推奨する、効果的な予防法は以下の4点です。

1. 正しいブラッシング技術の徹底

毎日の歯磨きは、歯周病菌の温床となるプラーク（歯垢）を除去する基本中の基本です。
• 力の調整: 力を入れすぎると歯ぐきを傷つけ、かえって歯周病を悪化させる原因になります。「やさしく丁寧に」を心がけましょう。
• 磨く場所: 歯と歯ぐきの境目に歯ブラシの毛先を当て、小刻みに動かす「バス法」などが効果的です。
• 時間と回数: 1日2～3回、食後に時間をかけて（目安として1回3分以上）磨くことが理想です。

2. 歯間ケアを毎日の習慣にプラス

歯ブラシだけでは、歯の表面積の約60%程度の汚れしか落とせないと言われています。残りの40%をカバーするために、歯間ケアが不可欠です。
• デンタルフロス: 歯と歯が接している部分（隣接面）のプラーク除去に非常に有効です。
• 歯間ブラシ: 歯ぐきが下がり、歯と歯の間に隙間がある場合に適しています。サイズが合わないものを使うと歯ぐきを傷つけるため、歯科医院で自分に合ったサイズを選んでもらいましょう。

3. 定期的な歯科検診とプロフェッショナルクリーニング

自覚症状の有無にかかわらず、年に3〜4回は歯科医院で検診とクリーニングを受けることが、歯周病予防の「要」です。
• 歯石の除去: 歯石はブラッシングでは除去できず、歯周病菌の格好の住処になります。専門的な機器を用いて徹底的に取り除く必要があります。
• 歯周ポケット検査: 歯周ポケットの深さを測ることで、自覚症状のない場所の進行度を正確に把握できます。
• ブラッシング指導: 患者様一人ひとりのお口の形や磨き方の癖に合わせた、オーダーメイドのブラッシング指導を受けることができます。

4. 歯周病を悪化させる生活習慣の見直し

歯周病は、細菌感染だけでなく、全身の免疫力や生活習慣とも深く関わる病気です。
• 喫煙: 喫煙は血管を収縮させ、歯ぐきへの血流を悪化させるため、歯周病の進行を早め、治療効果も著しく下げます。禁煙は最大の予防策の一つです。
• ストレスと睡眠: 疲労やストレスは免疫力を低下させ、歯周病菌が増殖しやすい環境を作り出します。十分な睡眠とストレスのコントロールを意識しましょう。
• 食生活: 栄養バランスの取れた食事を心がけ、特に歯ぐきの健康維持に必要なビタミンC・Eなどを積極的に摂取しましょう。

 まとめ｜歯茎の小さな変化を見逃さないで！

歯周病は「静かに進行する病気」だからこそ、日々のセルフチェックと、小さな違和感を放置しない意識が、あなたの歯の未来を左右します。
今日、鏡を見て気づいた「歯ぐきのわずかな赤み」や「ブラッシング時の軽い出血」は、未来の大きな後悔を防ぐための大切なメッセージです。
「気になるかも…」「チェックがいくつか当てはまった…」など、少しでもご不安な点や違和感を感じた方は、どうぞお気軽に前橋けやき歯科・矯正歯科へご相談ください。私たちは、あなたの健康な歯と笑顔を、全力でサポートいたします。