毎日欠かさず歯磨きをしているのに、歯科検診で「磨き残しがありますね」と言われたり、歯ぐきが腫れたりした経験はありませんか？歯磨きは、ただ時間をかければ良いわけではありません。お口の汚れ（プラーク）を効果的に落とすには、「自分に合った歯ブラシを選ぶこと」と「正しい方法でブラッシングすること」が非常に重要なんです。

今回は、私たちが普段、患者様にお伝えしている「正しい歯ブラシの選び方」と、歯の表面と噛み合わせ面をしっかり磨く「スクラビング法」、そして磨きにくい部分に効果的な「縦磨き」を組み合わせた「ブラッシングの極意」について、詳しくお話しします。この記事を読んで、ぜひ今日からのセルフケアをレベルアップさせましょう！

店頭にはたくさんの種類の歯ブラシが並んでいて、どれを選べば良いか迷ってしまいますよね。歯ブラシは、年齢やお口の状態によって最適なものが異なります。ご自身の状態をチェックしながら、以下の3つのポイントで選んでみましょう。

1-1. ヘッドの大きさ：奥まで届く「小さめ」が基本

歯ブラシのヘッド（ブラシ部分）は、上の前歯2本分くらいの大きさが目安です。

小さめヘッドがおすすめの理由：

お口の奥や、歯並びの悪い部分など、細かい部分まで小回りが利き、届きやすいからです。特に、磨き残しが多い奥歯の裏側や、一番奥の歯の側面を磨くためには、小さいヘッドが不可欠です。

大きなヘッドは、一度に広範囲を磨けるように感じますが、力が入りすぎたり、奥まで届かなかったりする原因にもなります。

迷ったら、少し小さめを選ぶことをお勧めします。

1-2. 毛の硬さ：基本は「ふつう」、お口の状態に合わせて調整

毛の硬さは、主にやわらかめ・ふつう・かための3種類があります。

硬さ おすすめな人 メリット・デメリット
ふつう： 歯ぐきが健康な方、特に問題がない方 適度なコシで効率よくプラーク（歯垢）を除去できます。当院では、迷ったらまずこの硬さをおすすめしています。

やわらかめ ：歯ぐきが腫れている・出血しやすい方、知覚過敏の方、強く磨きすぎる癖がある方 歯ぐきに優しく、傷つけにくいです。ただし、プラーク除去力は「ふつう」より劣る場合があります。

かため ：歯ブラシを握る力が弱い方（※使用に注意が必要） 強い力で磨くと、歯や歯ぐきを傷つけるリスクが非常に高くなります。力の強い方には推奨していません。
【歯科衛生士のワンポイント】
毛先が非常に細い超極細毛（テーパード毛）は、毛が柔らかすぎることが多く、歯の表面の汚れを落としきれない場合があります。歯の表面のプラークをしっかり落とすためには、適度なコシがある「ふつう」の硬さを基本とし、毛先が丸いラウンド毛のものがおすすめです。

1-3. 柄の形状：握りやすく、まっすぐなものがベスト

歯ブラシの柄（ハンドル）は、まっすぐで握りやすい形のものを選びましょう。

まっすぐな柄： 歯ブラシの操作がしやすく、磨きたい場所に正確に毛先を当てることができます。

ラバーグリップなど： 濡れた手でも滑りにくい工夫がされていると、余計な力が入りすぎるのを防ぐことができます。

2. 力とテクニックが重要！正しいブラッシングの極意

自分に合った歯ブラシを選んだら、次は「みがき方（ブラッシング）」です。ここでは、歯の表面全体を効率よく磨く「スクラビング法」と、特に磨きにくい部分を徹底的に磨く「縦磨き」を解説します。

2-1. ブラッシングの「力加減」と「持ち方」

1. 持ち方：鉛筆を持つように（ペングリップ）

歯ブラシは、手のひら全体で握るのではなく、**鉛筆を持つように軽く握る「ペングリップ」**が基本です。

理由： 強い力が入りすぎるのを防ぎ、毛先を細かくコントロールしやすくなります。

2. ブラッシング圧：毛先が広がらない「軽い力」で

歯を磨く力は、150～200g（大体、人差し指の腹で押さえて爪の色が少し白くなる程度の力）が目安です。

目安： 歯ブラシの毛先が広がらない程度の、ごく軽い力で磨きましょう。

強い力がNGな理由： 強い力で磨くと、歯ぐきが下がる（歯肉退縮）、歯の表面が削れる（くさび状欠損）といった、取り返しのつかないトラブルの原因になります。磨き終わった後に、歯ブラシの毛先がすぐに開いてしまう方は、力が強すぎるサインです。

2-2. 歯面全体を効率よく磨く「スクラビング法」

スクラビング法は、歯の表面に対して直角（90度）に毛先を当て、小刻みに動かして汚れを落とす方法です。

角度： 歯の表面、特に歯と歯ぐきの境目に対して、歯ブラシの毛先を直角（90度）に当てます。

動かし方： その場で5～10mm程度の幅で、小刻みに往復させます。ゴシゴシと大きく動かさないことが重要です。

範囲： 1～2本ずつ、場所をずらしながら丁寧に磨きましょう。歯の表面だけでなく、歯と歯ぐきの境目にも毛先が軽く触れるように意識してください。

奥歯の噛み合わせ面： 歯の溝に入り込んだ汚れをかき出すように、直角に当てて小さく前後に動かします。

2-3. 磨き残しをなくす「縦磨き」（縦方向のスクラビング）

歯ブラシが横から入りにくい場所や、歯並びが複雑な場所は、「縦磨き」に切り替えて、歯ブラシの先端（つま先）やカカトの部分を使いましょう。

1. 前歯の裏側（特に下あご）

磨き方： 歯ブラシを縦に持ち、ブラシの先端の角（つま先）を使います。歯ぐきから歯の先端に向かって、一本ずつかき出すように動かし、同時に小刻みな往復運動も加えます。

重要性： この部分は、唾液腺が近く歯石が付きやすいため、念入りに磨くことが大切です。

2. 奥歯の一番奥の面

磨き方： 歯ブラシのヘッド全体を横に入れるのが難しい場合は、歯ブラシのヘッドの先端（かかと）を縦にして使います。ブラシの角を使い、奥歯の一番奥の面に当て、小刻みに動かして汚れを落とします。

3. 歯並びの悪い部分や重なり合っている部分

磨き方： 歯ブラシの毛先全体ではなく、ブラシの先端の角を使い、デコボコの部分にフィットさせて小刻みに動かし、汚れをかき出します。

3. 歯ブラシだけでは不十分！補助清掃用具の活用
歯ブラシだけでは、歯と歯の間など、どうしても約30〜40%のプラークが残ってしまうことが分かっています。この磨き残しをなくすために、必ず補助清掃用具を使いましょう。

3-1. デンタルフロスの選び方と使い方

歯と歯の間が狭い方、お子様にもおすすめです。

選び方：

糸タイプ（ロールタイプ）： 経済的で、ご自身の指で細かくコントロールしやすいです。

ホルダータイプ（F字型・Y字型）： 簡単に使え、特に奥歯にはY字型が便利です。

使い方： 歯と歯の間にゆっくりと挿入します。フロスを片方の歯の側面に沿わせ、Cの字のように包み込む形にして、歯ぐきの境目まで入れ、上に引き抜くようにして汚れを絡め取ります。もう片方の歯の側面も同様に行います。

3-2. 歯間ブラシの選び方と使い方

歯と歯の間の隙間が大きい方、歯周病の方におすすめです。

選び方： 歯の隙間の大きさに合わせて、抵抗なくスムーズに入る、ギリギリのサイズを選びます。無理に太いものを入れると歯ぐきを傷つける原因になります。

使い方： 歯と歯の間に差し込み、前後に数回動かして汚れをかき出します。

3-3. ワンタフトブラシ

歯ブラシやフロスが届きにくい、ピンポイントの場所を磨くためのブラシです。

おすすめの場所： 一番奥の歯の裏側、歯並びが特に複雑な部分、矯正装置の周りなど。

使い方： 毛先を磨きたい部分に当て、優しく小刻みに動かしたり、くるくる回すようにして汚れを落とします。

4. 忘れてはいけない！歯ブラシの交換時期
どんなに正しく磨いていても、歯ブラシの性能が落ちてしまっては意味がありません。

交換の目安は「1ヶ月」

歯ブラシの毛先は、使い続けるうちに弾力を失い、開いてきます。毛先が開くと、プラーク除去率が大幅に低下します。

遅くとも1ヶ月に一度を目安に新しい歯ブラシに交換しましょう。

毛先が広がったらすぐに交換

1ヶ月経っていなくても、歯ブラシを裏から見て毛先が横にはみ出していたら、それは力が強すぎるサインであると同時に、交換のタイミングです。すぐに新しいものに替えましょう。

まとめ：あなたの歯磨きは大丈夫？
正しい歯ブラシの選び方とブラッシング方法について解説しました。

セルフケアの「質」を高めることが、虫歯や歯周病を予防し、大切なご自身の歯を長く守るための最も重要な一歩です。

選び方：

ヘッドの大きさ： 小さめ（前歯2本分くらい）

毛の硬さ： ふつう（歯周病対策や知覚過敏の方はやわらかめ）

毛先の形状： ラウンド毛（普通の丸い毛先）

磨き方：

持ち方： 鉛筆持ち（ペングリップ）

力： 軽い力（150〜200g）、毛先が広がらない程度

動かし方： スクラビング法（90度で小刻みに）を基本に、磨きにくい場所は縦磨きで対応

この記事を読んで、「自分の歯ブラシは合っているかな？」「磨き方は間違っていないかな？」と不安になった方は、ぜひ一度、前橋けやき歯科・矯正歯科にご相談ください。

当院の歯科衛生士が、あなたのお口の中の状態や磨き方の癖をチェックし、最適な歯ブラシ選びやブラッシング方法を個別指導させていただきます。最新の設備と丁寧なカウンセリングで、皆様の健康をサポートいたします。

けやきウォーク前橋内にあるため、お買い物ついでにもお気軽にお立ち寄りください。土日祝日も診療しております。皆様の笑顔と健康な歯のために、私たちがお手伝いいたします！

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