TBIと染め出しで変わるセルフケア|前橋で予防歯科をお探しの方へ、歯磨き指導(TBI)における『染め出し』の絶大な効果を科学的根拠と共に解説します
皆様、こんにちは。
「前橋けやき歯科・矯正歯科」です。昨日はけやきウォーク前橋のなかでお昼を食べました。けやきウォーク前橋はいつも人が多くにぎわっており、活気がありますね。
さて、本題です。
当院がもっとも力を入れている診療の一つが「予防歯科」です。虫歯や歯周病になってから治療するのではなく、できる限り病気を防ぎ、患者さんご自身の歯を長く守ることを目指しています。
その中心となるのが、歯科衛生士による歯磨き指導(TBI: Tooth-Brushing Instruction)です。そしてTBIの効果を最大限に高めるのが、「染め出し」です。
子供の頃に「赤い液で口の中を染めた」経験をお持ちの方もいらっしゃると思います。しかし、これは単なるイベントではありません。科学的根拠(エビデンス)に基づいた非常に有効な予防手段なのです。
最近とてもうれしいことがありました。当院の患者さんでこの染め出しTBIにすごく興味をもってくれて、夏の自由研究のテーマにしたいと仰いました。そしてなんとこの院長ブログの最初の記事を読んでくださいましたことも判明。院長はとてもうれしくなり、すぐさま論文を整理し、このブログで少しでも役に立てられるように知識面でサポートいたします。そして、●●さん、自由研究がんばってください!応援しています!!
今回は、J-STAGEに掲載されている日本語論文をもとに、「染め出し」がなぜ重要なのかをご紹介します。(海外の英語論文ほしい方は直接院長に聞いてみてください)
そもそも「TBI」と「染め出し」とは?
まずは用語の整理です。
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TBI(歯磨き指導)
患者さんの歯並び、生活習慣、磨き残しの傾向を踏まえて、歯ブラシの動かし方や歯間ブラシ・フロスの使い方までオーダーメイドで指導するものです。 -
染め出し
プラーク(歯垢)を着色する液を使い、磨き残しを目で確認できるようにする方法です。
「自分では磨けているつもり」でも、実際には歯と歯の間や奥歯に汚れが残っていることは珍しくありません。染め出しは、その「見えない汚れ」を『見える化』するための手法なのです。
「染め出し」の効果
効果1:プラーク除去精度の向上
坂井ら(2015年)は、スケーリング・ルートプレーニング(SRP)の臨床で、プラーク染色液を活用することで患者と術者が同じ視点で口腔清掃の状態を確認でき、TBIの効果が高まると報告しています【1】。
つまり「自分の目で確認できること」自体が、清掃精度の大幅な改善につながるのです。
効果2:データに基づく継続的な改善
李ら(1986年)は、歯周初期治療の中で中性紅による染色法を用い、プラークコントロールレコード(PCR)を記録しました。その結果、繰り返しの指導とチェックにより、患者の清掃状態が着実に改善していくことが示されています【2】。
「なんとなく磨けている」ではなく、数値で把握することで改善効果を実感できるのが大きな利点です。
効果3:清掃しにくい部位を特定できる
浦口ら(1983年)は、X-Pose®を使ったプラーク染色を用いて、部位別にPCR値(プラークコントロールレコード)を分析しました。その結果、奥歯の裏側や歯間部など磨き残しが出やすい場所が明確になり、指導に直結することが確認されました【3】。
これはまさに、「どこを重点的に磨くべきか」を患者が理解できるツールであることを意味します。
効果4:教育・動機づけの効果
島津ら(2010年)は、歯科学生が中学生にブラッシング指導を行った実践報告をまとめています。その中で「印象に残った内容」として多くの中学生が「歯垢染色」と答えました【4】。
つまり、「見える化」体験は強く記憶に残り、行動の変化を促すということです。
効果5:歯肉炎の改善とセルフケア習慣の定着
壺井ら(2021年)は、歯科衛生士養成校の教育で、ブラッシング前後に歯垢指数を評価しました。その結果、短期間で有意に歯垢が減少し、セルフケアの重要性を実感する教育効果が確認されました【5】。
これは、臨床だけでなく教育現場においても染め出しが有効であることを示す貴重なエビデンスです。
当院でのTBIと染め出し
「前橋けやき歯科・矯正歯科」では、これらの科学的根拠に基づき、すべての予防プログラムに染め出しを組み込んでいます。
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現状把握:まず染め出しを行い、ご自身の磨き残しを一緒に確認します。
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オーダーメイド指導:磨き残しのクセに合わせて、最適なブラッシング法や補助器具を提案します。
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実践と評価:その場で練習して再度チェックし、「自分で磨けた」という達成感を実感していただきます。
- 反復練習:それらを繰り返していきます。それによって、歯科に通った分だけ、歯磨きが上達します。
私たちは、患者さんがご自身の口腔ケアにおける「主役」になれるようサポートします。予防歯科はいうのは簡単だけど、実際はすごく難しいです。プロである私たちは歯ぐきの下の部分をケアし、患者さんは歯ぐきの上をケアできるようにすることがとても大切になります。予防で歯科に通うことが患者さん主体でまるで部活動みたいな感覚になれれば、もう歯周病、虫歯とは「さようなら」できるようになると考えています。
まとめ
染め出しは、
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プラークを「見える化」して磨き残しを減らす
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数値で改善を確認できる
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行動変容とモチベーション維持につながる
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歯周病予防に直結する
といった点で、単なる「色付け」以上の意味を持っています。
ぜひ当院で、エビデンスに基づく患者主体の予防歯科をご体験ください。
今後も歯科関連の話題を自由研究にしたい群馬(前橋、高崎、伊勢崎)在住の学生さんは、遠慮せずどんどんお話してください!可能な限りお手伝いいたします。
前橋けやき歯科・矯正歯科
参考文献(すべてネット上で閲覧可能)
【1】坂井雅子ほか (2015). 歯科衛生士コーナー SRPの実際. 日本歯周病学会会誌, 57(2), 107-115.
【2】李文昭 (1986). 歯周初期治療における… 日本歯周病学会会誌, 28(1), 252-263.
【3】浦口良治 (1983). 歯周治療期間中のプラークコントロールに影響を… 日本歯周病学会会誌, 25(4), 857-869.
【4】島津篤 (2010). 歯科学生による中学生へのブラッシング指導. 日本歯科衛生学会雑誌, 60(2), 99-105.
【5】壺井佳見 (2021). 新しい口腔衛生教育法の検討. 歯科学報, 84(2), 40-47.
これらの論文が紙でほしい方は渡すこともできます。通院時に仰ってください。
前橋けやき歯科・矯正歯科:https://keyaki-mbdc.jp/
〒371-0801 群馬県前橋市文京町2丁目1-1 けやきウォーク前橋内
電話:027-212-0766
電車でお越しの方:
前橋 駅 徒歩10分 けやきウォーク前橋内
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