治療後の過ごし方と注意点
歯科治療、お疲れ様でした。虫歯の治療や歯周病のケア、あるいは抜歯やインプラント手術など、歯科医院での処置が終わるとホッと一安心されることでしょう。
しかし、「治療が終わった瞬間」は、本当の意味でのゴールではありません。 治療後の数時間から数日間の過ごし方が、治療部位の治り(予後)を左右し、痛みや腫れを最小限に抑えるための重要な鍵となります。
本記事では、患者さんが治療後に自宅で安心して過ごせるよう、一般的な処置後の注意点から、処置別の具体的なアドバイス、そして長期的なメンテナンスの重要性まで、詳しく解説します。
1. 治療直後の共通ルール:麻酔が切れるまでが重要
多くの歯科治療では局所麻酔を使用します。麻酔が効いている間は、痛みを感じない一方で、お口の中の感覚が麻痺しています。
麻酔が切れるまでの時間は?
個人差や麻酔の種類にもよりますが、通常は1時間〜3時間程度効果が持続します。この間は以下の点に特に注意してください。
- 頬や唇を噛まない: 感覚がないため、誤って強く噛んでしまい、
大きな口内炎を作ってしまうことがあります。 特にお子さんの場合は、面白がって噛んでしまうことがあるため、 保護者の方が注意深く見守ってあげてください。 - 火傷に注意: 温度の感覚も鈍くなっています。
熱いお茶やコーヒー、スープなどを飲むと、 熱さを感じないまま重度の火傷を負うリスクがあります。 麻酔が切れるまでは、熱い飲食物は避け、 常温のものを選びましょう。 - 食事は麻酔が切れてから:
基本的に食事は麻酔が完全に切れてから摂るのが理想です。 どうしてもお腹が空いた場合は、ゼリー飲料や冷めたスープなど、 噛む必要のないものに留めてください。

2. 処置別・治療後の過ごし方と注意点
治療の内容によって、守っていただきたいポイントは異なります。ご自身が受けた治療の項目を確認してください。
① 詰め物・被せ物を入れた後
虫歯を削った場所に詰め物や被せ物を接着した後は、接着剤が完全に硬化するまで時間がかかります。
- 30分〜1時間は飲食を控える:
最近の接着剤は進化していますが、 安定するまでは負荷をかけないのがベストです。 - ガムやキャラメルを避ける: 当日は、
詰め物が取れる原因になる粘着性の高い食べ物は避けましょう。 - 違和感や高さの確認: 治療直後は「少し高いかな?」
と感じることがあります。数日経っても慣れない場合や、 噛むと痛みがある場合は、 無理に使い続けず調整にお越しください。
② 抜歯(親知らずを含む)をした後
抜歯後はお口の中に「傷口」がある状態です。治癒を早めるためには「血餅(けっぺい)」という血の塊を維持することが最も重要です。
- うがいをしすぎない: 傷口にできた血の塊が取れてしまうと、
骨が露出して激しく痛む「ドライソケット」の原因になります。 当日は、何度もうがいをしたり、 強くゆすいだりしないでください。 - 傷口を触らない: 気になっても舌や指で触れたり、
吸ったりしないでください。 - 入浴・運動・飲酒は控える: 血行が良くなると、
一度止まった出血が再開したり、痛みが増したりします。 当日はシャワー程度にし、激しい運動や飲酒は控え、 安静に過ごしましょう。 - 止血を確認する: 帰宅後もじわじわと出血する場合は、
清潔なガーゼを丸めて傷口に乗せ、20分〜 30分ほど強く噛んで圧迫止血を行ってください。
③ 歯周病の治療(スケーリング・ルートプレーニング)の後
歯石を除去した後は、歯茎が一時的に敏感になっています。
- 刺激物を避ける: 歯茎が引き締まる過程で、
知覚過敏のような症状が出ることがあります。極端に冷たいもの、 熱いもの、辛いものは数日間控えましょう。 - 丁寧なブラッシング:
治療直後は少し出血することもありますが、 お口を清潔に保つことが治癒を早めます。 歯科衛生士に教わった方法で、優しく磨いてください。
④ 根管治療(歯の神経の治療)の後
歯の根っこのお掃除をしている最中は、歯が非常に割れやすい状態です。
- 治療中の歯で噛まない: 仮の蓋をしている状態ですので、強い力がかかると歯が割れたり、
蓋が外れて細菌が侵入したりします。 反対側で噛むように意識してください。
3. お薬の服用について
治療後に鎮痛剤(痛み止め)や抗生剤(化膿止め)が処方された場合は、以下のルールを守ってください。
- 抗生剤は飲み切る: 痛みがなくても、
細菌感染を防ぐために処方された分はすべて飲み切ってください。 途中で止めると、耐性菌が発生するリスクがあります。 - 鎮痛剤は無理せず飲む: 「薬に頼りたくない」
と我慢される方もいますが、 強い痛みはストレスになり治癒を遅らせることもあります。 痛みが強くなる前に服用するのが効果的です。
4. こんな時はすぐにご連絡ください(トラブルへの対応)
治療後、以下のような症状が出た場合は、遠慮なく当院へお電話ください。
- 出血が止まらない:
ガーゼを噛んでもドクドクと血が出てくる場合。 - 激しい痛みが続く: 痛み止めを飲んでも全く効かない、
または数日経ってから痛みが強まってきた場合。 - 薬によるアレルギー: 薬を飲んだ後に蕁麻疹、かゆみ、
息苦しさなどを感じた場合は、 すぐに服用を中止してご連絡ください。 - 仮歯や蓋が完全に取れた: 治療中の部位が露出すると、
感染や歯の移動のリスクがあります。
5. 「治療完了」から「予防」へのステップアップ
「痛みを取る」「穴を埋める」という治療が終わった後は、その状態をいかに長く維持するかが重要になります。
なぜメンテナンスが必要なのか?
お口の中には何百種類もの細菌が住んでいます。治療した歯は、天然の健康な歯に比べて、どうしても汚れが溜まりやすかったり、境目から二次虫歯(再発)になりやすかったりします。
- セルフケアの限界: どんなに丁寧に磨いても、
ご自宅のケアだけでは6割程度の汚れしか落とせないと言われてい ます。 - 早期発見・早期治療: 定期検診に通っていれば、
もし不具合が出ても最小限の処置で済みます。
6. よくある質問(FAQ):治療後の「これって大丈夫?」
患者さんが気になる事柄を質問形式でまとめました。

Q. 治療後に熱が出たのですが…
A. 抜歯やインプラントなどの外科処置の後、一時的に37度程度の微熱が出ることがあります。これは体が傷を治そうとする正常な反応であることが多いですが、38度以上の高熱や、顔が大きく腫れる場合は感染の疑いがあるため、すぐにご連絡ください。
A. 抜歯やインプラントなどの外科処置の後、
Q. 詰め物が取れてしまいました。どうすればいいですか?
A. 取れた詰め物は捨てずに、清潔なケースに入れてお持ちください。状態が良ければそのまま再装着できる場合があります。放置すると、中の象牙質が露出し、虫歯が急激に進行したり、歯が動いて詰め物が入らなくなったりします。
A. 取れた詰め物は捨てずに、清潔なケースに入れてお持ちください。
Q. 歯茎の色が紫や白くなっています…
A. 抜歯の後は、内出血で歯茎が紫っぽくなったり、治癒過程で白い膜(偽膜)が張ったりすることがあります。これらは正常な治癒過程ですので心配いりません。ただし、悪臭を伴う場合は診察が必要です。
A. 抜歯の後は、内出血で歯茎が紫っぽくなったり、
7. 治療の成果を長持ちさせるために:定期検診の意義
治療が終わった瞬間は、ゴールではなく「新しい健康のスタート」です。
歯科治療で入れた詰め物や被せ物は、天然の歯と100%同じではありません。どうしても人工物と歯の「境目」が存在します。この境目にプラーク(細菌の塊)が溜まると、「二次カリエス(虫歯の再発)」 が起こります。
プロフェッショナルケアの重要性
毎日の歯磨きは非常に重要ですが、実はどんなに完璧に磨いているつもりでも、歯ブラシが届く範囲には限界があります。
- バイオフィルムの破壊: 細菌が作る強固な膜(バイオフィルム)
は、歯科医院の専用器具でなければ完全に除去できません。 - 早期発見: 詰め物の小さな浮きや、
初期の歯周病は自覚症状がありません。 プロの目で定期的にチェックすることで、 将来的な抜歯リスクを劇的に下げることができます。
8. おわりに:私たちが大切にしていること
治療を終えられた患者さんの笑顔を見ることが、私たち歯科医師・スタッフにとって最大の喜びです。当院で行った治療が、あなたのこれからの豊かな食生活と、健やかな毎日の支えになることを願っています。
歯科治療は、患者さんのご協力があって初めて成功するものです。治療後の数日間、少しだけ意識して過ごしていただくことで、痛みや腫れを抑え、よりスムーズに健康なお口を取り戻すことができます。
もし過ごし方の中で不安なことや、「これは大丈夫かな?」と思うことがあれば、どんな些細なことでも構いませんので、お電話にてお気軽にご相談ください。
あなたの笑顔と健康な食生活を守るために、私たちは治療後もしっかりとサポートし続けます。
前橋けやき歯科・矯正歯科
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